白血球数の見方(臨床)

こんにちは、内科医κです。

今日は学生さん・研修医の先生向けに血液検査の見方について述べたいと思います。

血液検査でよく気にする白血球数について着目してみましょう。

 

白血球増加の鑑別

白血球増加は細菌感染症で起こるので、こちらも最も身近な血液検査異常の一つではないかと思います。逆に細菌感染症が考えにくいのに白血球増加が認められた場合は鑑別に困るのではないかと思います。こちらについてある程度鑑別を絞る考え方を述べたいと思います。

 

鑑別のポイント

白血球増加に貧血や血小板減少を伴っている場合は、多くの場合急性白血病です。すぐに血液内科へ紹介してください。すぐに骨髄検査の適応なので悠長に鑑別診断を絞っている場合ではありません。

 

白血球増加単独の異常の場合は、次に血球の分画を見てみましょう。好塩基球の増加や骨髄球などの幼若球が出現していたら、慢性骨髄性白血病が疑われます。紹介状に「好塩基球の増加もあり・・・」と書いて血液内科へ紹介してみましょう。

 

リンパ球ばかりの白血球上昇に出会った場合には慢性リンパ性白血病(CLL)の可能性が高いです。検査技師さんに末梢血の目視をしてもらい、異常なリンパ球が出現していないか確認、CTで全身のリンパ節腫脹の有無を確認しましょう。異常リンパ球の出現、リンパ節腫脹や被種があればCLLの疑いとして血液内科へ紹介しましょう。ただし、CLLは日本人には稀な疾患なので滅多に出会わないと思います。

 

そのほかに多いのは好酸球が増加することでしょうか。好酸球の増加は二次性のことが多いので、アレルギー疾患、寄生虫、膠原病等の疾患を除外してやはり好酸球上昇の原因がはっきりしない場合には慢性好酸球性白血病の可能性等を考え、血液内科紹介としたら良いでしょう。

 

白血球減少の鑑別

鑑別に向かう前に、白血球減少の場合は好中球数が500以上あるかを確認する必要があります。好中球500未満の場合は、発熱時には「発熱性好中球減少症」として緊急対応する必要があります。白血球減少を認めた場合には常に好中球数が500以上かどうかをチェックしましょう。

 

鑑別のポイント

白血球減少でもその他の血球の減少を伴っている場合はすぐに血液内科へ相談してください。汎血球減少は基本的には血液疾患のことが多く、骨髄検査を必要とします。例外は化学療法に伴う血球減少ですので、化学療法歴は確認しましょう。

 

白血球単独の減少の場合は多くが薬剤性です。国家試験でも有名なのが、抗甲状腺薬のメルカゾールとプロピルチオウラシルの無顆粒球症ですね。こちらは完全に好中球ほぼゼロになることがありますので注意が必要です。そのほかにもST合剤、抗けいれん薬、サラゾスルファピリジンなどが有名ですが、プロトンポンプインヒンビターなどのよく使用する薬剤でも起こる可能性があるので、直近1ヶ月で開始した薬剤があれば全て被疑薬と考えた方が良いでしょう(長期内服している薬剤でも起こることがあります)。

 

そのほかではウィルス感染でも白血球減少が起こる場合があります。軽度の場合が多いですので、軽い白血球減少ならば外来フォローとして経過を見るのが良いと思います。

 

そのほか、原因がはっきりしない白血球減少もあります。この場合も数ヶ月に一度血液検査フォローして、白血球減少が進行してくれば血液内科相談という形が良いかと思います。

 

白血球減少・増加ともにまずは貧血・血小板減少を伴うかを確認しましょう。なければ非常に急ぐ疾患の可能性は少ないですので、少し鑑別を進めてみるとCBCの見方も変わってくると思います。ぜひ、若い医師の方々もCBCを深読みしてみてください。

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